トルコのEU加盟実現は絶望的過ぎた...その理由を徹底解説!
トルコがEUに加盟してユーロ導入...なんてことになったらスワップポイント狙いの投資家には悲劇ですねぇ。どうも、トライオートFXからスワップポイントが高いIG証券とサクソバンク証券に鞍替えが完了したラフランスです。
今回はですね、トルコがEUに加盟する可能性について調べてみました。もしEUに加盟したら、トルコリラが消滅するのは時間の問題ですし、僕のようなスワップポイント狙いの投資家にとっては死活問題ですからね。脳に汗をかきながら必死に調べてみましたよ。結論から言うと、トルコがEUに加盟するのは絶望的ってことがわかりました。
少なくともヒジョーに仲が悪いEU加盟国のギリシャとキプロスとの関係が良くならない限りは、ムリですね。この2か国に反対されまくって一向に加盟できません。じゃ早速、トルコがEUに加盟できない現実的な問題、なぜトルコはEU加盟にこだわるのか?、などを含めながら解説していきたいと思います。
そもそもEUってなに?
まず、「そもそもEUって何ぞや?」って話なんですけど、EUとは「European Union」の略で、日本語だとヨーロッパ連合や欧州連合なんて呼ばれます。ヨーロッパは陸続きで小さな(人口が少ない)国が多い地域です。そんな国々が第二次世界大戦で大きな被害を受けたとき、「ヨーロッパの国々で力を合わせて頑張ろう!」ということで1993年にEUができました。
そこで出来た決まりごとが以下の3つ。
- EUに参加してる国は、ユーロという共通のお金を使いましょう。
- EUに参加してる国同士は、パスポートなしで自由に行き来できるようにしましょう。
- EUに参加してる国同士の輸入や輸出の制限はやめましょう。
じゃあどの国でもEUに加盟できるのかというと、だいぶ厳しめな条件があります。
EU加盟の条件
まず条件としてEU加盟候補国として承認されなければなりません。(トルコは1999年12月に承認済み)。その後、EU法の総体「アキ・コミュノテール」にある"35章の政策分野(英語)"の条件を満たすために、国内法の改正を行います。
そして準備が整った章からEU加盟国(各国)の審査を受け、全部の国(27か国)の承認が下りると1つクリア。次章の審査に進めます。このとき、1か国でも反対されると承認されず、再審査というだいぶ厳しめなシステムになってます。
これを35回(35章分)繰り返して、全部の章で全EU加盟国から承認を貰えない限り、EUに加盟できません。
ちょっと分かりにくいかもしれないんですけど、簡単にまとめると以下の通りです。
- EUに加盟する場合、35個の条件があります。
- 1つの条件をクリアしたら、そのたびに全EU加盟国(27か国)で審査します。
- 35個の条件に無事、各国の審査をパスできればEUに加盟できます。
ザックリとしたイメージですが、EUに加盟する条件はこんな感じです。
ちなみに、EU加盟候補国になっていても、EUが気に食わないことをやっていると、
お前の国は、審査してやらねーからな!
と審査を停止させられてしまいます。ちなみに、トルコはエルドアン大統領に権力が集中しているとのことで、審査を停止された過去があります。
トルコEU加盟の進捗率
ここで気になるのが、トルコは35個の条件のうち、何個クリアしてるのか、ということですね。結論から言うと、2022年時点でたった1個しか承認されていません(爆)ちなみに、トルコは2005年から審査を受けています。
17年間で1個だけって…。このペースだとあと578年間もかかる計算ですよ。本当にEUに加盟するつもりあるんですかねぇ...
一方で、トルコと同じ2005年から審査を受けていたクロアチアは2013年にEU加盟を実現してます。それでも8年はかかってるので、EUに加盟するのがいかに厳しいかがわかりますね。
トルコがEUに加盟できない理由
クロアチアは加盟できたのに、なぜトルコだけ置いてけぼりなのか、気になったので調べてみました。様々な理由がありましたが、大きな理由は以下の3つですね。
- 宗教上の問題
- EU加盟国のギリシャとキプロスとの仲がヒジョーに悪い
- トルコの人口が多すぎる
早速、順番に見ていきます。
宗教上の問題
トルコは国民の9割がイスラム教を信仰している中、EUの国々はすべてキリスト教国家です。EUは「キリスト教クラブ」なんて称されるほどなので、各国の政治家たちはトルコの加盟に陰で反対していると言われてます。キリスト教とイスラム教が分かり合うことは出来ないっていうのが本音のところかもしれませんね。もちろん表向きには公言してないですが...。言ってみれば、ハーレー集団の中にハーレー以外のバイクが乗り入れられないのと同じ理屈ですね。
EU加盟国のギリシャとキプロスとの仲がヒジョーに悪い
トルコとギリシャの仲は世界一悪い
まずギリシャとトルコの関係は、世界一有名な犬猿の仲と言われるほど、めっちゃくちゃ仲が悪いそうです。過去に何度も戦争を行ってきたというトルコとギリシャ。でもそれだけじゃ世界一有名とは言われないはずなんですよ。
そこで良く調べてみたら、「あぁーなるほどね。こりゃ確かに仲悪くなるわ」っていう最大の理由がありましたね。
それは、自国が自由に独占して使える海の水域。社会科で勉強した排他的経済水域ってやつですね。これをトルコが「よこせー!」ギリシャが「イヤだー!」とずっと言い合ってるのが理由。
なんでこんなことになってるかと言うと、トルコとギリシャの間にある海(エーゲ海)をギリシャが独占しちゃってるので、トルコにとってはそれが面白くないわけです。でもエーゲ海に浮かぶ島々はギリシャのもの。だから国際法的にはエーゲ海はギリシャが自由に使える海域になるんです。
そんな両国の主張は以下の通り。
多くのトルコ住民がエーゲ海の沿岸に住んでるんだ!この割合は絶対におかしい!半分よこせ、ギリシャ!
なにを言う?エーゲ海は我が国のものだ。これは国際法上、認められている!ザマーミロ、トルコ。
こんな感じでバチバチにやってるわけです。隣人と境界線のことで揉めるアレに似てますね。当然、ギリシャはエーゲ海をトルコに分けることはしません。でもトルコはしつこく「よこせ!」と言ってくるので、嫌われます。
そんな欲深いトルコを毛嫌いしてるギリシャはEUに加盟中。なのでトルコが
すみませんでした。もうエーゲ海をよこせなんて言いません。
と謝罪して、ギリシャと仲良しにならない限り、たとえギリシャ以外の国がトルコのEU加盟を承認してもギリシャはしてくれないでしょうね。最近は、両国の関係改善を進めてるみたいですけど、トルコが折れない限り、仲は良くならないと思います。
キプロスとも仲が悪いトルコ...
トルコはキプロスとも仲が悪いです。理由はキプロス共和国に在住してるのがギリシャ系だからです。この国には、ギリシャ系住民(8割)とトルコ系住人(2割)が住んでいて、1960年にイギリスから独立したのをキッカケにトルコとギリシャが侵入してきて紛争が勃発。
キプロス共和国をギリシャにしようとしたところ、トルコが猛反発し北側を占拠。一歩も譲らないトルコは北側を北キプロス・トルコ共和国として独立してしまったわけです。まあこの国は、他国から認められず、トルコだけ認めているだけという悲しい状況なんですけどね。
意固地になっているトルコは今もキプロスの北側を譲ろうとしないので、キプロスとの仲が悪いまま...そして皮肉にも2004年にキプロス共和国はEUに加盟。国際的に認められてない北キプロス・トルコ共和国は当然EUに加盟できません。
キプロス共和国と言っても住民がギリシャ系なので、ほぼギリシャと同じです。だから当然トルコのことが大っ嫌いなわけですよ。なので、ギリシャとキプロスと仲良くなるためには、
もうエーゲ海の半分をよこせなんて言いません...。キプロスの北側もキプロスにあげます。
って言わなくちゃならないってことですね。
トルコの人口が多すぎる
人口とか関係なくね?って思うかもしれないんですけど、EUの政策を決める欧州議会の議席数は、加盟国の人口に合わせて配分されるようになってるんです。どういうことかっていうと、もしトルコがEUに加盟した場合、一番人口が多い国はトルコ。つまり、後から入ってきた新参国なのに議会で、いきなりデカい面ができるようになるってわけです。
ちなみに、今現在、議席数が一番多い(合計96議席)のはドイツで人口が8324万人です。一方、トルコの人口は8434万人もいます。
これは元々EUに加盟している国からすれば、なんとしてでも「加盟させたくない」と思うはず。トルコが大きな発言権を得るわけですからね。だからもし、トルコがEU加盟の条件をクリアしたとしても、
やっぱりトルコは承認できねーな!
なんてこともありうるかもしれません。あるいは、議席数の配分を見直す法案が出てくる可能性もありますね。
うーん、結局どう頑張っても「仲間に入れてほしいのに入れてくれない」小学生のような状況でちょっと可哀そうな気もします。
トルコはなぜEU加盟にこだわるのか?
じゃあ、なんでトルコはこれほどEUに加盟したがるのか?気になったので調べてみたところ、理由は3つありました↓。
- EU加盟国への自由な出入りと、好きな国で労働できるから(賃金が低いトルコは高い国に出稼ぎに行けるようになる)※ただ加盟後7年間は、労働者の移動はできない模様
- EUによる経済援助
- 外国人による投資の増加
慢性的な赤字体質のトルコは、EUに「お金くれ~」ってお願い(経済的援助)することもできますし、EUに加盟できたという信用力から外国人からの投資を得やすくなります。また賃金が高い他のEU国にパスポートなしで働きに行けるメリットもありますね。
ただ、トルコには地下資源が豊富にあるので、地下資源の掘削が2023年に解禁されれば、EUに加盟するメリットって無くなるんじゃないかなって個人的には思ってます。
⇒トルコが破綻する可能性は1%もない!?あり得ないワケとは?
もしトルコがEUに加盟した時に起きること
僕のようなスワップポイント狙いの投資家にとって一番心配なのが、万が一トルコがEUに加盟した時の話。EUに加盟すると共通通貨のユーロを導入する義務があります。そうなるとトルコリラが消滅してしまうんですよね。
そうなったら、トルコリラを保有してる人は全部売り払わなきゃいけないんですけど、強制的に損が確定しちゃうんですよね。スワップポイントも貰えなくなっちゃいますし...これだけは絶対に避けたい...せめてスワップと評価損を相殺できるくらいまで存続してもらわないとめっちゃ困る。
でもですよ、EUに加盟したからと言ってすぐにユーロを導入できるかどうかは別の話。助かるわ~...導入には4つの条件をクリアする必要があるとされてます↓
- 物価
- 財政
- 為替レート
- 金利
の安定です。
この4つの条件をクリアすると、ユーロを導入できるわけですが、EUに加盟済みの国を見ると、この4つをクリアするために、どの国も数年以上かかっています。じゃあ実際にEUに加盟してからユーロが導入されるまでどのくらいの期間がかかったのか、表にまとめてみました。
国名 | EU加盟年 | ユーロ導入年 | 導入までの期間 |
オーストリア | 1995年 | 1999年 | 4年 |
ベルギー | 1958年 | 1999年 | 41年 |
キプロス | 2004年 | 2008年 | 4年 |
エストニア | 2004年 | 2011年 | 7年 |
フィンランド | 1995年 | 1999年 | 4年 |
フランス | 1958年 | 1999年 | 41年 |
ドイツ | 1958年 | 1999年 | 41年 |
ギリシャ | 1981年 | 2001年 | 20年 |
アイルランド | 1973年 | 1999年 | 26年 |
イタリア | 1958年 | 1999年 | 41年 |
ルクセンブルク | 1958年 | 1999年 | 41年 |
マルタ | 2004年 | 2008年 | 4年 |
オランダ | 1958年 | 1999年 | 41年 |
ポルトガル | 1986年 | 1999年 | 13年 |
スロバキア | 2004年 | 2009年 | 5年 |
スロベニア | 2004年 | 2007年 | 3年 |
スペイン | 1986年 | 1999年 | 13年 |
リトアニア | 2004年 | 2015年 | 11年 |
ラトビア | 2004年 | 2014年 | 10年 |
ブルガリア | 2007年 | 2024年予定 | 17年 |
クロアチア | 2013年 | 2023年予定 | 10年 |
直近で言うと、ブルガリアはユーロ導入まで17年、クロアチアは10年ほどかかったようですね。まだ予定ですけど...。一番早い国でも3年かかっているので、もしトルコがEUに加盟することになってもユーロ導入まで少なくとも3年以上はかかるかなと。
万が一そうなったら、トルコリラを売り払って、ブラジルレアルとかの高金利通貨に鞍替えしようと目論んでます。まああと5年以上は余裕で大丈夫だと勝手に思ってます。頼む...このままEUに加盟しないでいてくれ!
まとめ
いやー、トルコがEUの加盟交渉を始めてからずいぶん経つので、結構いいところまで行ってるのかなーって思ったら全然ダメでしたね。17年間も交渉してきて、35個のうち1個だけしか審査をパスできてないトルコ。まだまだ投資妙味がありそうですねぇ。これなら最低でも5年以上は保有し続けられそうなので、今後もジャンジャン買っていきたいと思います。
ラフランスの小言
ここ最近の下落で、買いまくっていたら63万通貨になってました。バーゲンセールと言わんばかりの買い方してます(笑)これが凶と出なければいいんですけどねぇ。
一応、「ちゃんと買ってるよ」っていう証拠画像を載せておきますね。
ん?なんでこんなアホみたいに買えるのかって?そりゃあ2023年にトルコが激変するからですよ。詳しい話は以下の記事で解説しているので、時間があるときにでも読んでみてください。
⇒トルコが破綻する可能性は1%もない!?あり得ないワケとは?